黒鉛るつぼの製造は、静水圧成形技術の登場により飛躍的に進歩し、世界最先端の技術として確立されました。従来のラミング法と比較して、静水圧成形は、均一な組織、高密度、エネルギー効率、そして優れた耐酸化性を備えたるつぼを実現します。成形中に高圧を加えることで、るつぼの組織が大幅に改善され、気孔率が低下し、熱伝導率と耐食性が向上します(図1参照)。静水圧成形環境では、るつぼの各部に均一な成形圧力がかかるため、材料の均一性が確保されます。図2に示すように、この方法は従来のラミング法を凌駕し、るつぼの性能を大幅に向上させます。
1. 問題の説明
アルミニウム合金絶縁抵抗線るつぼ炉において、約45日間の寿命を持つ、圧縮グラファイトるつぼを使用した場合に懸念が生じています。使用開始からわずか20日で、熱伝導率が著しく低下し、るつぼ外表面に微小な亀裂が発生しました。使用後期には、熱伝導率が著しく低下し、るつぼはほぼ非伝導状態になります。さらに、表面に複数の亀裂が発生し、るつぼ上部は酸化により変色します。
図3に示すように、るつぼ炉を検査したところ、耐火レンガを積み重ねたベースが使用されており、抵抗線の最下部の発熱体はベースから100mmの高さに位置していました。るつぼの上部は、外縁から約50mmの位置にアスベスト繊維ブランケットで密閉されており、るつぼ上部の内縁には著しい摩耗が見られました。
2. 新しい技術の改良
改善1:等方加圧粘土黒鉛るつぼ(低温耐酸化性釉薬使用)の採用
このるつぼの使用により、アルミニウム合金製断熱炉におけるその応用範囲が著しく向上し、特に耐酸化性が向上します。黒鉛るつぼは通常400℃以上の温度で酸化しますが、アルミニウム合金製断熱炉の断熱温度は650~700℃です。低温耐酸化釉薬を施したるつぼは、600℃以上の温度でも酸化プロセスを効果的に抑制し、優れた熱伝導率を長期間維持します。同時に、酸化による強度低下を防ぎ、るつぼの寿命を延ばします。
改良2:るつぼと同じ材質の黒鉛を使用した炉底
図4に示すように、るつぼと同じ材質のグラファイトベースを使用することで、加熱プロセス中にるつぼ底部が均一に加熱されます。これにより、加熱ムラによる温度勾配が緩和され、底部加熱ムラに起因する割れの発生が低減します。また、専用のグラファイトベースはるつぼを底部と整合させ、安定した支持を保証するため、応力誘起による破損を最小限に抑えます。
改善3:炉の局所的な構造強化(図4)
- 炉カバーの内側の縁を改良し、るつぼ上部の摩耗を効果的に防止し、炉の密閉性を大幅に向上しました。
- 抵抗線がるつぼの底と同じ高さにあることを確認し、底部が十分に加熱されることを保証します。
- るつぼの加熱に対する上部ファイバーブランケットシールの影響を最小限に抑え、るつぼの上部が適切に加熱されるようにし、低温酸化の影響を軽減します。
改善4:クルーシブルの使用プロセスの改善
使用前に、るつぼを炉内で200℃以下の温度で1~2時間予熱し、水分を除去します。予熱後、急速に850~900℃まで昇温し、300~600℃での滞留時間を最小限にすることで、この温度域での酸化反応を抑えます。その後、作業温度まで温度を下げ、アルミニウム液状材料を投入して通常の運転を開始します。
精錬剤はるつぼを腐食させるため、正しい使用手順に従ってください。定期的なスラグ除去は不可欠であり、るつぼが高温の状態で実施する必要があります。そうでないとスラグの洗浄が困難になります。使用後期においては、るつぼの熱伝導率とるつぼ壁の経年劣化の有無を注意深く観察することが重要です。不必要なエネルギー損失やアルミニウム液の漏洩を防ぐため、適切なタイミングで交換する必要があります。
3. 改善結果
改良されたるつぼの寿命延長は特筆すべき点であり、長期間にわたって熱伝導性を維持し、表面のひび割れも観察されませんでした。ユーザーからのフィードバックによると、性能の向上は生産コストの削減だけでなく、生産効率の大幅な向上にもつながっています。
4. 結論
- 等方加圧粘土グラファイトるつぼは、性能の点で従来のるつぼより優れています。
- 最適な性能を得るには、炉の構造がるつぼのサイズと構造と一致する必要があります。
- るつぼを適切に使用すると、るつぼの寿命が大幅に延び、生産コストを効果的に抑えることができます。
るつぼ炉技術の綿密な研究と最適化により、性能と寿命が向上し、生産効率の向上とコスト削減に大きく貢献します。
投稿日時: 2023年12月24日